【書評】京都船岡山アストロロジー/望月麻衣/講談社文庫ーーわちゃわちゃ占星術コメディー⭐︎

書評
※書影は版元ドットコム様より
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ーーどこにいても、それぞれに苦労をし、後悔をする時もある。大事なのは、自分で選ぶことなのだと——。

 今回ご紹介させていただく作品は、望月麻衣・著『京都船岡山アストロロジー』になります。おかざきおかさんの表紙イラストが良き。
 アストロロジーとはいわゆる占星術のこと。
 占星術は「陰陽五行説」をベースとする東洋占星術と「四要素」をベースとする西洋占星術とに分かれます。
 本作で扱っているのは西洋占星術。
 西洋占星術は、対象者の生まれた瞬間における星座と天体の位置関係、または天体同士の位置関係をもとに個人・社会・時代の流れを綿密に紐解いていくというもの。
 個人のレベルで言えば、人生における対象者の取扱説明書を読み解いていくスキルとも言えます。
 迷ったときにはいったん立ち止まって、自分の立っている位置を知り、そこからまた歩み出す。それを手助けしてくれるような、大昔の人が磨き上げた至高の学問なのです。

 望月麻衣さんの作品には、同じく西洋占星術をテーマとしている”満月珈琲店の星詠み”シリーズがあります。その記事でも少しだけ語っているのでよろしければこちらも↓

【書評】満月珈琲店の星詠み/望月麻衣/文春文庫ーー人と宇宙を繋ぐ猫
ーー『満月珈琲店』には、決まった場所はございません。時に馴染みの商店街の中、駅の終着点、静かな河原と場所を変えて、気まぐれに現れます。そして、当店は、お客様にご注文をうかがうことはございません。  今回ご紹介させていただく作品は、望月麻衣...

 『京都船岡山アストロロジー』と『満月珈琲店』との大きな違いは、、
 前者ではホントに日常っぽい世界観の中で、会話の中に自然と西洋占星術の知識なんかも交えながら、ユニークな登場人物たちがわちゃわちゃとコミカルにお話を進めていくのに対して、、後者はファンタジー色が非常に強め。満月の夜に突如として現れる、猫のオーナーが営む星詠みカフェのお話。日常の中に潜む圧倒的な非日常感を味わうことのできる仕様となっております。

 『京都船岡山アストロロジー』は大まかに、出版社と書店とそこに併設するカフェを主な舞台としています。

 主人公は耕書出版に務める入社2年目の編集者・高屋誠。東京本社から大阪梅田にある支社への転勤を言い渡され、『ルナノート』という中高生向けの占い雑誌の担当となってしまいます。。ちなみに相当な占い嫌いです笑←大丈夫か? すごーく真面目だけれど、どこか早合点な部分が見え隠れしているなと感じました。

 ヒロインは神宮寺桜子。どこぞのお嬢様? という響きを持つ名前の女の子ですが、女子高生をやりながら祖母・京子の営む船岡山書店でバイトをしています。将来は作家志望で、自身の作品を公募に応募したり、小説投稿サイトへ投稿したり、、仲良くしてもらっているTwitterのフォロワーさんととても近しいものを感じて、応援したくなりました。性格はすごく勝気でまだまだ幼さも残るけれど、よく人を見ていて素直な一面もあったり。

 桜子の祖父・雄三は書店に併設する船岡山珈琲店を営んでいて、そこではしゅうという桜子の”お兄”も働いています。
 船岡山珈琲店は月曜日のモーニングとか水曜日のアフタヌーンティーのような、素敵な施策のある地元の人気店。クリームチーズ入り厚焼き卵焼きサンドイッチがとても気になりました!
 あとはやっぱり京野菜! 私の地元からして、人生で京野菜とめぐり合うことなんてほとんどないので関西の人が羨ましい。。かつての朝廷に献上するためのお野菜を、その趣向を凝らして育て上げていったんですもんね。ぜったいに美味しいはずです。
 現実世界の船岡山にもおしゃれなお店がいくつも並んでいるそうです。いつか行ってみたいな。。

 出版社、書店、珈琲店の人々が西洋占星術を媒介としながら繰り広げる、まさかの急展開やどんでん返し待ち受ける、ほっこりわちゃわちゃコメディー”京都船岡山アストロロジー”シリーズ。
 2022年7月時点では2作目『京都船岡山アストロロジー2 星と創作のアンサンブル』までが刊行中です⭐︎

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 今回ご紹介させていただく作品は、望月麻衣・著『京都船岡山アストロロジー』になります。おかざきおかさんの表紙イラストが良き。
 アストロロジーとはいわゆる占星術のこと。
 占星術は「陰陽五行説」をベースとする東洋占星術と「四要素」をベースとする西洋占星術とに分かれます。
 本作で扱っているのは西洋占星術。
 西洋占星術は、対象者の生まれた瞬間における星座と天体の位置関係、または天体同士の位置関係をもとに個人・社会・時代の流れを綿密に紐解いていくというもの。
 個人のレベルで言えば、人生における対象者の取扱説明書を読み解いていくスキルとも言えます。
 迷ったときにはいったん立ち止まって、自分の立っている位置を知り、そこからまた歩み出す。それを手助けしてくれるような、大昔の人が磨き上げた至高の学問なのです。

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 前者ではホントに日常っぽい世界観の中で、会話の中に自然と西洋占星術の知識なんかも交えながら、ユニークな登場人物たちがわちゃわちゃとコミカルにお話を進めていくのに対して、、後者はファンタジー色が非常に強め。満月の夜に突如として現れる、猫のオーナーが営む星詠みカフェのお話。日常の中に潜む圧倒的な非日常感を味わうことのできる仕様となっております。

 『京都船岡山アストロロジー』は大まかに、出版社と書店とそこに併設するカフェを主な舞台としています。

 主人公は耕書出版に務める入社2年目の編集者・高屋誠。東京本社から大阪梅田にある支社への転勤を言い渡され、『ルナノート』という中高生向けの占い雑誌の担当となってしまいます。。ちなみに相当な占い嫌いです笑←大丈夫か? すごーく真面目だけれど、どこか早合点な部分が見え隠れしているなと感じました。

 ヒロインは神宮寺桜子。どこぞのお嬢様? という響きを持つ名前の女の子ですが、女子高生をやりながら祖母・京子の営む船岡山書店でバイトをしています。将来は作家志望で、自身の作品を公募に応募したり、小説投稿サイトへ投稿したり、、仲良くしてもらっているTwitterのフォロワーさんととても近しいものを感じて、応援したくなりました。性格はすごく勝気でまだまだ幼さも残るけれど、よく人を見ていて素直な一面もあったり。

 桜子の祖父・雄三は書店に併設する船岡山珈琲店を営んでいて、そこではしゅうという桜子の”お兄”も働いています。
 船岡山珈琲店は月曜日のモーニングとか水曜日のアフタヌーンティーのような、素敵な施策のある地元の人気店。クリームチーズ入り厚焼き卵焼きサンドイッチがとても気になりました!
 あとはやっぱり京野菜! 私の地元からして、人生で京野菜とめぐり合うことなんてほとんどないので関西の人が羨ましい。。かつての朝廷に献上するためのお野菜を、その趣向を凝らして育て上げていったんですもんね。ぜったいに美味しいはずです。
 現実世界の船岡山にもおしゃれなお店がいくつも並んでいるそうです。いつか行ってみたいな。。

 出版社、書店、珈琲店の人々が西洋占星術を媒介としながら繰り広げる、まさかの急展開やどんでん返し待ち受ける、ほっこりわちゃわちゃコメディー”京都船岡山アストロロジー”シリーズ。
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