ーー手には剣 胸に花 愛を知るタラニス
みなさんは、誰かを愛することで過酷な宿命を背負うことになるとしたら、どうしますか?←唐突
私は、誰かを愛することは少なからず宿命を背負うことなのだと思っています。愛する恋人がいたらきっと、その人のために何かをしたくなるでしょう? 旦那さん・奥さんができたら、その人と、家族としての宿命を背負うことになります。子供ができたら、その子をぜったいに守り抜きたいと、そういう宿命にかられると思います。。
過酷さの加減はまちまちかとは思いますが、あなたはどこまでなら耐えられるでしょうか?
愛さえあればどんな過酷さにも耐えられますか?
それでは今回ご紹介させていただく作品は、七月隆文・著『100万回生きたきみ』になります。みなさんもお気づきのように、佐野洋子・著『100万回生きたねこ』となにか関係がありそう?
私が読んだ印象だと、転生を繰り返すことや愛をテーマとしていることなど、いくらかのオマージュを感じ取ることはできました。
でもやっぱり、一冊の小説として仕上げているというだけあって、情報量はさすがに絵本の比ではありません。壮大な物語の後に綴られる結末には、七月隆文さんならではの独創性・独自性も垣間見ることのできる内容となっています。
そもそも『100万回生きたねこ』では、愛を知るのは”最後”だけれど、『100万回生きたきみ』では、”最初”なんです。←意味深
物語の主人公は三善光太という、”英雄”を名乗る高校生。スポーツ万能で勉強もそこそこできて、少しだけチャラいイケ男な印象。ハルカという親友と一緒にいることが多いです。
ヒロインは安土美桜という”100万回生きた”と自称するハルカの親友。なので、光太とは友達の友達というちょっと浅めの関係です。100万回の人生を経てきた物語の序盤では、自暴自棄というか退廃的というか、、今にもすべてを投げ打ってしまいそうな雰囲気をもった女の子。
物語はこの二人の学園生活での出会いから始まるのですが、もうね、序盤から衝撃的すぎました! 「えっ?! そういう展開?!」って感じ。なんとなく予想していたことをあっさりと裏切ってくれました。そこからは文章の惹きつけ力がすごくて、一気に読み切ってしまった次第です。さすがは七月隆文さん。。
読んでいて感じたのは、この物語、転生を繰り返す内容とだけあって、極端な場面の移り変わりが幾度も連続して展開されていきます。ホントに、世界観そのものが変わってしまうような場面切り替えなんですけど、読者としては、その切り替えの描写にさえも秀逸さを感じました。移り変わっていく流れが、なんとも美しいんですよね。。
それが細かな文体の変化とともにしっかりと表現されていたところにも感激してしまいました。
うーん、新海誠監督によって映像化とかされたら大ヒットするんじゃないかな。『君の名は。』『天気の子』みたいな、日常っぽさの中に壮大なファンタジー要素の含まれている作品が好きな方はぜったいにハマる作品だと思います。
私の脳内の映像だけでもすごいものが生まれているので、ああ、みなさんにも見せてあげたい笑
映画館のスクリーンの映像美に包まれながら堪能できたらぜったい素敵だろうなー。。新海誠監督! 待ってます!
青春恋愛のようで青春恋愛からは大きく外れた深い深い愛の物語を、みなさんもぜひとも⭐︎
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