【書評】美しい彼/凪良ゆう/キャラ文庫ーーまるで、天変地異のようなBL小説?!

書評
※書影は版元ドットコム様より
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ーーキングに仕える一兵卒の分際で、不敬罪でアヒル隊長に切り捨てられても文句は言えない。

 みなさんはBL小説って、読んだことはありますか? 私はこれまでの人生で、そういった作品に触れる機会がほとんどなくてですね。BLの世界を初めて知ったのは、大好きなTwitterのフォロワーさんが執筆された作品を読んでからのことでした。

 BLって男性同士で淫らなすごいことをするものっていう大まかな印象しかなかったのですが、その実、そこにはちゃんとしたストーリーがあって。で、男性同士がすごいことをしているのって、普通に日常を送っているだけだと全然想像もできないじゃないですか? そこに描かれる日常の中の非日常感はもはやファンタジーでもあるんですよね!

 それでは、今回ご紹介させていただく作品は、凪良ゆう・著『美しい彼』になります。

 「えっ?! 凪良ゆうさんって、あの『流浪の月』の凪良ゆう?!」

 そうなんです! 私も凪良ゆうさんについて調べていて、実は最近になって知ったことなのですが、凪良ゆうさん、BL小説界の大御所のようなのです。←BLファンからすると常識なのかな? めちゃめちゃ多くの作品を世に出しております。

 そのことをフォロワーさんに話してみたら、フォロワーさんもちょうど最近『美しい彼』を買っていて読もうと思っていたとのことだったので、それなら私もということになったのでした笑

 『美しい彼』は凪良ゆうさんのBL作品の代表作だそう。
 2021年11月18日よりドラマも放送されていて、更には2022年5月18日には映画化決定の情報も公表されました。
 小説の続編には、2作目『憎らしい彼』→3作目『悩ましい彼』→『interlude 美しい彼番外編集』とあるそうです。

 それでは本編についてなのですが、私、この作品を読んで初めて「吃音症」という病気を知りました。簡単に説明すると、話すときに言葉に詰まってしまう、いわゆるどもりのようなものが頻発してしまう病気だそうです。
 主人公の一人である平良一成くんがその病気に悩まされていて、生活の中でもたびたび不便を感じてしまっています。それが原因でスクールカーストも一番下になってしまい、、序盤のほうではけっこう苦しい描写がつづきます。。
 苦しい状況の中、脳内で身を寄せる「アヒル隊長」というアヒルのおもちゃが、彼のキャラクターとしてのアクセントにもなっていたりします。イマジナリーフレンドのようなものかな? 私も陰キャなので、わかります←

 対するもう一人の主人公、清居奏くんはスクールカーストのトップ。口数は少なくとも、一つ一つの言動がクラスを動かすような、まるで王様のような存在です。これ以上書くとそれ自体がネタバレになってしまうので、、読んでからのお楽しみです笑

 クラスの底辺とトップを飾る二人の主人公たちは、いったいどんな物語を紡いでいくのでしょうか? たぶん、まだ読んでいない方の想像を見事に裏切っていく展開になっていると思います。まるで天変地異のような……!

 心理描写などはエンタテイメント性を重視してか、割とはっきりしていて、とてもコミカルに読めるように感じました。
 平良くん視点での、序盤から中盤にかけてのグツグツと何かが煮えたぎっていくような展開、清居くん平良くん交互視点での、中盤からの突然の盛り上がりからすごいことをしているシーンまでのすべてが舌を巻く構成です。
 本屋大賞を取るような作家さんが本気でBLを書いたらこうなるのかーという感じですね。ウンウン

 私みたく今までにBL作品を読んでこなかった人にも、入門としてこの作品はいいんじゃないかな? Let’s open up your own BL world!⭐︎

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