【書評】invert 城塚翡翠倒叙集/相沢沙呼/講談社ーー物語は、そのすべてを覆す!?

城塚翡翠 倒叙2書評
※書影は版元ドットコム様より
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ーー犯人は自明。ただし、わたしはこう問いかけましょう。はたして、あなたは探偵の推理を推理することができますか?

 今回ご紹介させていただく作品は、相沢沙呼・著『invert 城塚翡翠倒叙集』になります。『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の続編です。

【書評】medium 霊媒探偵城塚翡翠/相沢沙呼/講談社文庫ーー最高峰の大どんでん返し?!
ーー心霊と論理を組み合わせて、真実を提示するーー。自分は、彼女の媒介者となる道を選んだ。時間はもう、あまり残されていない。  今回ご紹介させていただく作品は、相沢沙呼・著『medium 霊媒探偵城塚翡翠』になります。  相沢沙呼さんは、...

 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』では、霊媒を名乗る城塚翡翠と推理小説作家である香月史郎がタッグを組んだ、霊媒と論理による事件解決が描かれました。そして最後には予想だにもしない大どんでん返しが……!
 『invert 城塚翡翠倒叙集』では、タイトルにもある通り、全3章の中短編集の中で、”倒叙ミステリ”が展開されていきます。
 倒叙ミステリとは、序盤に犯人となる人物の犯行場面などが記述され、以降も犯人視点を中心に物語が進行していく、ミステリ作品の一つの形式です。
 読者は事件の真相をはじめから知っているわけなので、では何を楽しむか、なのですが、、
 それは、探偵が何を手がかりにどんな思考・論理展開で犯人に迫っていくのか、それを犯人がどのようにいなし掻い潜るのか、という攻防のスリル感がその一つに挙げられるかと思います。

 例えば、大場つぐみさんの『デスノート』では、犯罪者を裁くという名目で大量殺戮を繰り返す主人公の夜神月が、その天才的な頭脳を駆使して、世界的な探偵・Lやその後継者たちと一進一退の攻防を繰り広げる、白熱した頭脳戦・心理戦が見ものの倒叙ミステリだと言えるでしょう。
 ドストエフスキー著『罪と罰』も、テーマとしておいているものはより深いものではありますが、ナポレオン主義を掲げ殺人を犯した主人公のラスコーリニコフのことを、事件の担当判事・ポルフィーリが追い詰めていく緊迫感は、大衆文学としても存分に楽しむことのできる倒叙ミステリだと思います。
 ドラマ作品でいうと『警部補 古畑任三郎』もそうですね。有名な作品を挙げましたが、他にもたくさんあると思います。詳しい方がいましたら、ぜひぜひ教えてくださいね⭐︎

 いやぁ…この作品『invert 城塚翡翠倒叙集』も凄すぎました……! 想像の何段も上を超えてくる展開に前作同様、本がどこかへ飛んでいってしまいました。。ン?

 invertとは、逆さにする、ひっくり返す、裏返しにする、反対にする、逆転させるなどの意味を持つ単語です。これを踏まえた上で読み進めたとしても、最後には赤井秀一さんも「まさかここまでとはな…」と唸ってしまうことでしょう←

 感覚的には、全3章の中の1章と2章は短編、最後の3章は中編くらいの分量だと思います。
 それぞれの章で犯人は異なるのですが、それぞれが独自に完全犯罪を企て実行していきます。

 前作にて霊媒探偵としての実力を見せつけた城塚翡翠はもちろんのこと、前作にはちょこっとだけ登場した秘書?家政婦?親友?の千和崎真も、今回は登場シーンを増やし、翡翠のサポートへの注力具合も一段と増していて、なかなかに新鮮だったり。。

 城塚翡翠という探偵は、なんと言ってもそのキャラクターがとても面白いのです。
 それ自体がネタバレとなるため詳しくは書けないのですが、犯人へ迫る際の圧迫感と、合間に見せる真とのやり取りの中の可愛らしい彼女とのギャップも、物語を彩るアクセントとなっているように思います。また、mediumとinvertとでの彼女の描かれ方、そこにも深い意味が眠っているやもしれません。
 ドラマ化するなら浜辺美波さんが適役かな? アニメ化ならcv.早見沙織さんですかね。。うん、ホントにこれ、メディアミックスにはとてもむいた作品だと思うんです。
 今回みたく、一話完結の短編みたいにも書けるのであればなおさら。その業界の方が目にとめてくださることに期待です!

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