【書評】medium 霊媒探偵城塚翡翠/相沢沙呼/講談社文庫ーー最高峰の大どんでん返し?!

medium書評
※書影は版元ドットコム様より
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ーー心霊と論理を組み合わせて、真実を提示するーー。自分は、彼女の媒介者となる道を選んだ。時間はもう、あまり残されていない。

 今回ご紹介させていただく作品は、相沢沙呼・著『medium 霊媒探偵城塚翡翠』になります。
 相沢沙呼さんは、”マツリカシリーズ”や”酉乃初の事件簿シリーズ”など、人が死なない青春ミステリを多く手がけられている作家さんです。

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ーー遠く離れているわけではない。手を伸ばせば届く距離にいるのに、互いにふれようとしない人々を。互いに避けあって、声を掛けずに見て見ないふりをしている人々を、わたしはここからみているの。手を伸ばしても届かない距離まで、走って逃げてしまう、哀れ...

 ただ、この作品ではけっこう死にます。。私、人が殺される作品ってあんまり好きではなくて。。なので、「〜の殺人」みたいなタイトルのものや、表紙が禍々しいものはなるたけ避けていたのですが……。

 ”ミステリランキング5冠獲得”という謳い文句に釣られて、ついつい手にとってしまったのでした。ワンチャン死なないかもなーという淡い期待もございました←あらすじに”連続死体遺棄事件”という言葉がある時点で気づこう、、笑

 昔、江戸川乱歩の”明智小五郎シリーズ”や”少年探偵団シリーズ”くらいなら読んだことがあったので、そういうのも読めなくはないし、やっぱり5冠を獲得するような作品がどんなものなのかは気になりました。

 物語では主に”霊媒”を名乗る城塚翡翠じょうづかひすいという女の子と、推理小説作家・香月史郎こうげつしろうのタッグによる推理劇が展開されていきます。
 2人の間にはホームズとワトソンのような力関係は特に見えないのですが、男性で年上の香月史郎のほうがなにかとリードしていく場面が多かったように思います。
 ただ、推理に関しては”ダブル探偵役”と言えるでしょう。

 翡翠のもつ霊媒の能力はそれほど万能ではありません。某心霊探偵のように「死者の魂が視える」とか「死者と言葉を交わすことができる」みたいなものではなくて。。
 死者の魂と自分を共鳴させたり(←条件がそろえば)、魂や感情の匂いを嗅ぎ分けたり、、言ってしまえばめっちゃ強化されたHSP(Highly Sensitive Person/人より敏感な人)のようなイメージかなー。ちなみに私もHSPだったり。。
 雰囲気はミステリアスで、ときに純真な一面も見せる女の子です。瞳の色が翠色というのと、西洋のお人形さんみたいなコーデが多いのも彼女の特徴です。

 史郎は、ある事件をきっかけに推理作家への道に進みました。その論理的思考力を買われて警察からの捜査依頼なんかもたびたび引き受けていたりもする、絵に描いたような探偵さんです。
(『名探偵コナン』の登場人物、コナンくんの父親・工藤優作さんも推理小説作家で、作中トップクラスの推理力を誇ることで有名ですよね。)
 淡々としているけれど紳士的でもあり、一言で表現するなら”真面目くん”みたいな? 彼のような人間がなぜ霊媒を名乗る不可思議な女の子と組むことになったのか。それは読んでからのお楽しみです♪

 ただ、通常の推理というものは現場に残る痕跡や、その他諸々の状況から組み立てていくものなんですよね。なーんにも残っていなければどうしようもありません。そこで翡翠の特殊能力の出番なのです。
 霊媒の力で得たなんの証拠能力もないヒントも、そこに史郎の論理が加われば立派な推理になり得ます。

 この2人の推理劇がね、ホントに目を見張るものでした。史郎の論理構築が圧巻そのものというのもあるし。推理劇といっても心霊みたいな不可思議なものが混ぜこぜになっているので、展開も新感覚な感じで。。
 序盤からホントに苦しかった。え、これがこの先もずっと続くの!? って考えたらすぐにでも本を閉じたくなるような、胸が張り裂けそうな感情で満たされました。。
 でも、なんとか手に汗にぎりながら読み終えましたよ。クライマックスではあまりの大どんでん返しに本がどこかへ飛んでいってしまって、、探すのにとても苦労しました泣←うそです

 これがミステリランキング5冠の実力なんですね。。これまでに感じたことのない衝撃と驚愕にあふれていました。。

 ”エエエエエェェェェ!!!!?!!?”って感じです笑

 読んだ人にしかわからない、この感覚を、、ぜひぜひみなさんも味わってみては?
 それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました⭐︎

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