ーー人間っていうのは選択の積み重ねで出来てると思ってるの。一つでも違う何かを選んでいたら、それはもう別人なのよ。
「あのときこうしていればよかった」って考えること、みなさんにはありますか? 私はありません。っていうと嘘になるかもです。。生きていたら後悔に苛まれることだって、苦しい感情と共に、立ち止まってしまうことだってありますよ。人間だもの。
でもなるべく、今楽しいこと、悲しいこと、それらを真正面に受け止めて、今に力を注ぎたいという気持ちだってあります。何かを切り拓いていくとしたら、今この瞬間の判断が一番重要だと思うから。。
でも、過去の大切な思い出や未来への希望だって、もちろん私の一部です。「今を生きろ!」という言葉はあるけれど、過去も現在も未来もすべて含めて、私にとっての”今”なのです。(謎持論)
今回ご紹介させていただく作品は、武田彩乃・著『世界が青くなったら』になります。武田彩乃さんと聞けば、やっぱり『響け!ユーフォニアム』のイメージが強いですよね。
私も実は小中高が吹奏楽部だったので、数多のあるあるに触れることができたのが面白くて。
例えば、自分の楽器に名前もつけたし。私はオーボエだったのであまり楽器をどこかにぶつけるといったことはなかったけれど、ぶつけていた子は「痛ッ!」ってたしかに言っていましたよ笑
武田彩乃さんの書く青春って、フィクションでありながらも登場人物たちのやりとりや感情の流れがとても緻密で、読者と登場人物たちとの距離が近いというのかな、、
読んでいる間は青春の一場面に溶け込んでいるような感覚。それぞれのキャラクターにすごく感情移入がしやすいなぁって、私は思います。
この『世界が青くなったら』という作品も、そういうイメージで読み始めました。でもすぐに「あれ? 違うな?」って感じました。
”青春恋愛ファンタジー”を謳ったこちらの作品。世界観がこれまでとはまるで違っています。それらを生み出す文体も、どこか行間を読ませてくるような、不思議な感覚。。
作品の構成は完全にミステリです。主人公である仲内佳奈が朝目覚めると、恋人の坂橋亮が世界から消えてしまっている、という割とよくある踏み込みではあるものの、その後滔々と綴られる斬新な世界設定。
章を追うごとに落とされる真実の影につられて、読者なりにいろいろと想像を巡らせたりはするのですが、やっぱり最後まで読んでみないとわからないっていうもどかしさ笑
正直、「武田彩乃さんって、こういうのも書くんだ?!」って驚いてしまいました。彼女の新たな一面やも?
「もしあのときこうしていたら、こうだったかもしれない」って、たぶん多くの人が考えてしまうものなのではないでしょうか。でも「もしあのときこうしていなくても、そうだった」のかもしれません!←エッ?
どうやら私の頭は壊れてしまったようです。。いや、世界が壊れたのかも。。
物の本によれば、人生は選択の連続だと言われています。その選択において、あなたが一番大切にしていることはなんですか?
え、私ですか? もちろんLOVE & PEACEですよ?キランッ 私を含むみんなが幸せになれる道が一番です。すべては叶わなくとも、一つ一つの選択に、自分なりの意味が込められたなら、まずはそれでいいのかなと思います。。
こういう問題って、答えは一つではないし、人が集まればそれだけさまざまな意見が生まれるものだと思います。この作品は、そういったテーマに果敢に切り込んでいった、武田彩乃さんの可能性にあふれた作品だと思うのです。
クライマックスでの衝撃や焦燥感は相当なものでした。胸がキューッとなりました。! 「人生の決断」という深みのあるテーマに加えて、エンターテイメント性もふんだんに盛り込まれた作品だと感じました。ぜひぜひ、読んでみてくださいね⭐︎
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