ーーマンダレー、わたしたちのマンダレー、かつての姿と変わらずに密やかで静謐なマンダレーが、そこにあった。
今回ご紹介させていただく作品は、デュ・モーリア著『レベッカ』になります。古典の名書みたいなのですが、私ぜんぜん知らなくて。。ディーリア・オーエンズ著『ザリガニの鳴くところ』で主人公のカイアが読んでいたのをきっかけに知ることができました。
カイア曰く「愛の物語」とのことで、そこも興味を惹かれたポイントです。どの時代でも、愛を謳った物語は人々の間で名を馳せておりますが、1世紀近くも前に発表を迎えたこちらの作品がどのような愛を描いているのか、いたく気になったのです。
『レベッカ』と『ザリガニの鳴くところ』の2作品の間の繋がりにも触れたくて、さっそく手に取ってみました。
読んでみると、カイアとレベッカの間には、それほど強い重なりというのは感じられませんでした。。ただ「愛のために戦い抜いた」という点で、たしかな共通項はみられます。そして、レベッカという人物に見る「愛の凄み」の部分は、多少なりともカイアへと引き継がれているようにも感じました。
作中作というほどの描かれ方では無いけれど(ホントにちょっとした読書シーン程度です)、ディーリア・オーエンズさんは何かしらの意図をもって『レベッカ』という作品を織り込んできたんじゃないかなと、私は思うのです。←考えすぎかな?

話は作品自体に戻ります。『レベッカ』と言うと、原作は1938年にイギリスの作家デュ・モーリアさんによって発表されたものになります。大昔に書かれたものって、文体にクセがあるとかで、たまに読み難かったりするんですよね。。
でも、私が読んだこの新潮文庫のもの。さすがは新約というだけあってとても現代的です。もちろん近代ヨーロッパ的な時代背景などはそのままに、言い回しの部分で、とても工夫なされていて、とくに抵抗もなく読み進めることができました。
なにより、翻訳者である茅野美ど里さんの『レベッカ』愛がつよすぎて笑 あとがきからビンビンと伝わってくる翻訳家としてのプライドと情熱が圧巻です。。!
ちなみに、原作が発表されてから約2年後の1940年にはアルフレッド・ヒッチコック監督によって、近くは2020年にもベン・ウィートリー監督によって映画化もされています。なかなかにロングセラーですよね。。
この物語は終始、主人公の「わたし」視点で展開されていきます。最後まで「わたし」の名前は明かされません。そこには何やら怖い意味合いが潜んでいそうなんですよね。。
あれ? レベッカは? と思われた方。実はレベッカさんはこの物語のスタート時には、もうすでに亡くなられているのです。←エエッ!
「わたし」はとっても内気な性格で、たぶん私にも負けず劣らずの陰キャで……笑 編み物やスケッチなどを趣味にしている子でですね。いつも周りの様子を伺っているような繊細さんでもあります。なので、物語を読み進めているうちに湧き立つ親近感がすごかったのは秘密。。笑
「わたし」は、レベッカの猛威にさらされる(←え、そうなの?)以前には、とある貴婦人の付き人として糊口をしのいでおりました。
そんなあるとき、マンダレーという大豪邸に住む大富豪マキシム・デ・ウィンターという男性に出会うのです。そして、このマキシムの前妻がレベッカなのです。キター!
ここで、いよいよ火蓋が切られます……!
「わたし」&マキシム VS レベッカ!カ-ン! ドゴーン!
レベッカは自身の死と引き換えに、現世にとんでもない呪縛のようなものを残していきました。それはいわば強すぎる愛の代物。これが作中全域において影を落とし続けます。「わたし」とマキシムとの2人の抗う様子に注目です。
もうね、結末は「レベッカ! ここまでするのか?!」という感じ笑 でも、その気持ち、なんかわかる気もするんですよね。。ウン
序盤はどこかミステリな感じで展開していって、だんだんとヒューマンホラーサスペンスに色づいていくような、そんな読み応えでした。
でもたぶんですけど、読む人によっては捉え方は大きく変わるやもしれません。また、読む回数によっても得られることや感じ方も、いくらか変わってくるのだと思うんです。。それだけ深みのある作品として、私は推します。。!
「ただならぬ恋愛小説」「凄みのある愛を語る古典文学」。そんなキーワードに惹かれた方はぜひぜひ⭐︎ それでは、最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎
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