【書評】満月珈琲店の星詠み/望月麻衣/文春文庫ーー人と宇宙を繋ぐ猫

萬月珈琲店の星詠み書評
※書影は版元ドットコム様より
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ーー『満月珈琲店』には、決まった場所はございません。時に馴染みの商店街の中、駅の終着点、静かな河原と場所を変えて、気まぐれに現れます。そして、当店は、お客様にご注文をうかがうことはございません。

 今回ご紹介させていただく作品は、望月麻衣・著『満月珈琲店の星詠み』になります。”満月珈琲店”シリーズの第一作目です。
 シリーズはその後、二作目『満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜』→三作目『満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの奇跡〜』と続きます。
 このシリーズ三作目をもって望月麻衣さんはついに、自身の掲げていた目標である「著作50冊」を達成されたのでした。その記念?という形で、自身の初期作となる『旋律〜君と出逢えた奇跡〜』を刊行なされたわけなのです。

【書評】旋律〜君と出逢えた奇跡〜/望月麻衣/双葉文庫
ーー十七歳は、少年の純粋さと大人の魅力が見え隠れする、最も美しく輝かしい時なのかもしれない。それが眩しくて、目眩がしているだけ。  今回ご紹介させていただく作品は、望月麻衣・著『旋律〜君と出逢えた奇跡〜』です。この本を読んで私が感じたこと...

 みなさんは、占いって信じますか? 私は信じるというよりは、、その気になるっていう感じかな。←なにがちがうの?
 基本は、良いことだったら「頑張ればそうなる気がする!」って思うし、悪いことだったら「信じないようにしよう」みたいな。占いが運命を決めるというよりは、なにか、指針のようなものとして受け取っている感じです。こう見えて、意外と現実主義なところがあったり。
 朝のニュースでよく見かける「12星座占い」だって、順位が低そうなら見ないようにしています。目を背けます笑
 ちなみにこの12星座占いって、この物語にも登場する「西洋占星術」の一部分をわかりやすーく切り取ったもの、いわば、エッセンスのようなものなのです。
 具体的に言いますと「自分が生まれたときに太陽が位置していた星座」が私たちの”誕生星座”であって、太陽の意味する「表向きの自分」を中心に、その日の運勢を占っていくものとなっています。

 実際に西洋占星術であつかう天体は、「太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星」の全部で10種類。
 各天体はそれぞれが固有の意味をもっています(例えば、月は太陽に対して「内向きの自分」のような)。
 自分が生まれた瞬間の星座や天体の位置関係、また天体同士の位置関係から個人・社会・時代の流れを綿密に紐解いていくというもの、それが西洋占星術なのです。
 西洋占星術で扱う情報は「出生図(ホロスコープ)」という円形の図形に集約されます。これはネット上で無料で出力できるものなので、気になった方はぜひぜひ。ちなみに私も試しに出してはみたのですが、、意味不明でした……笑 あたりまえか笑

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占星学,アカデミック,スクール,人生,学術的な研究

 この物語の主な舞台は、満月の夜、京都の街中に神出鬼没で現れる「満月珈琲店」。そこで働く猫たちがお客さんの星詠みをするといったものになります。
 街で野良猫と目があっただけで嬉しくなってしまう私にしてみれば、最高の代物!
 ただ、オーナーはめっちゃでかいです! あとデザートがとてもおしゃれで、好評を機にレシピ帳なんかも出版されていたり。。↓

 全3章からなるお話は短編集のようでもあり、でもどこかで繋がっていて。
 猫が星詠みをするというその幻想的な世界観相まって、宇宙の神秘のようなものを感じさせてくれるような、全体の統一感。読んでいて最後まで持続する、ふわ〜っとした不思議な高揚感。文章だけでここまで表現できるんだなーっと驚きでした。。

 人生につまずいたり迷ったりしたときには、一度立ち止まって自身を見つめ直す時間がやっぱり必要なんですよね。私は性格上、けっこう考え込んでしまうタイプなので、毎日なにかしら反省をしていますけど。。もう少し深い洞察をもって自身を紐解いていく手助けとなるもの。それが西洋占星術なのだと感じました。たかが占い、されど占いです。

 望月麻衣さんはデビュー前からずっと、西洋占星術の勉強をされていたそうなのです。きっと、いつかこういう作品が書きたいと思いながら勉強してきたんですよね。スゴイニャー
 望月麻衣さんが手がける西洋占星術を扱った作品には他にも、『京都船岡山アストトロジー』というものがございまして。こちらはどちらかというとファンタジー色の薄い、ドタバタ劇のような感じで、またちがった面白さがありましたよ(*´艸`)

 本を読んで不思議な気分に浸りたい方や、西洋占星術とはなんぞやと思われた方。そんな人にこの作品はおすすめです。ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎ 

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