ーーこの花の名前は?
ーートルコ産でもなければキキョウ科でもない、トルコギキョウです
ーーほんとはどこ産でなに科?
ーーアメリカのテキサス州などが原産地で、リンドウ科です
私、幼稚園の頃はお花屋さんになることが夢でした。。今でもお花は大好きで、晴れた日にはときどき、公園などで季節の花々を写真におさめたりしています。お花の色や形を眺めたり、花言葉を調べたりするのも楽しいのです。
私の好きなお花は、やっぱりどうしても、桜になってしまいます。花言葉は「精神美」「優美な女性」「純潔」。実は私の本名って、桜が由来だったりするのですが、この花言葉にふさわしい生き方がしたい。と、つくづく思ってはいます。。好きなお花は他にもたくさんあるのですが、、キリがないので割愛です笑
さてさて、今回ご紹介させていただく作品は、山本幸久・著『花屋さんが言うことには』になります。「川原崎花店』というお花屋さんを取り巻く、人と花との関わりを主題としたお話。そして主人公「君名紀久子」の成長奮闘ストーリーでもあります。
紀久子は、グラフィックデザイナーを目指して美大のデザイン科へ入学し卒業をしました。ただ現実は甘くなく、デザイン関係の仕事には就けず、絵に描いたようなぶっ飛んだ食品系ブラック企業に勤めておりました。ここの描写は読者として傍から見ているだけなら面白いのですが、、かなーり闇が深いです。。でも面白い笑
そんなある日、偶然「外島李多」という、「川原崎花店」の店主に命をひろわれ、そのお店でバイトをすることとなるのです。李多さん、すごくはっきりしていて、テキトーに見えるけど人への気遣いもできて、少し勇猛な部分もある、吉高由里子さんなんかが演じると絵になるような感じかなー。めちゃ好きです。
川原崎花店には、他にも元国語教師で紀久子を気にかけてくれている光代さんや、学者でロッククライマーな芳賀さんとか、親友の瑞穂とか、キャラ立ち豊かな人たちがたくさん登場します。物語は若干コミカルな感じで進行するので(でも、魅せるところは魅せてきますよ)、飽きずにリズミカルに読み進めることができました。
なによりこの作品、当たり前なのですが、お花屋さんとお花に関する知識が豊富に散りばめられています。
お花屋さんって、たくさんのお花に囲まれた空間で働けるじゃないですか? もう想像するだけで華やか。朝に水やりをして、お花を愛でながらお客さんと楽しくお話するだけ。そう思っていた時期が、私にもありました!
でもそれって、あくまでもお花屋さんの表舞台なんですよね。実際はバックヤードでの、仕入れたお花などを処理していく肉体労働業務とか宅配業務とか、汗水垂らしながら動き回ることもしばしば。。幼稚園時代の私に教えてあげたいです。よく考えな、現実みなって。。
この作品を読んで「へぇ! そうなんだ!?」と感じるお花の知識もとても多くて。。「ヒマワリの花言葉(意味深)」とか「重陽の節句」とか「クリスマスローズ、アジサイ、クレマチス、アネモネの花は実は……」とかとか。植物図鑑でももちろんこういったことは学べるとは思うのですが、物語の中で触れる知識ってなんか、とても生き生きしてるように感じます。
この作品は全8章で構成されていて、それぞれの章でテーマとなるお花が設けられています。もちろん「桜」もありました♡ 人がどういうときにお花を買って、どういう思いを込めて贈るのか。その人にとっての特別なお花とは。。? 人とお花が織りなす温かなストーリーが、個性豊かな登場人物たちによって賑やかに展開されていきます。
そして、忘れちゃならない紀久子の夢、”グラフィックデザイナー”。こちらも作中で大きく関わってきます。そして恋愛も♡
年間を通して、人々のいろいろな思いを担ってくれるお花屋さんとお花の物語。お花が好きな人や好きだけどあまり知らない人に、すごくおすすめです⭐︎
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