【書評】旋律〜君と出逢えた奇跡〜/望月麻衣/双葉文庫

旋律の書影書評
※書影は版元ドットコム様より
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ーー十七歳は、少年の純粋さと大人の魅力が見え隠れする、最も美しく輝かしい時なのかもしれない。それが眩しくて、目眩がしているだけ。

 今回ご紹介させていただく作品は、望月麻衣・著『旋律〜君と出逢えた奇跡〜』です。この本を読んで私が感じたこと……騙・さ・れ・ま・し・た・!
 「『京都寺町三条のホームズ』望月麻衣の原点となる純愛小説!」という帯文と表紙のイラストから、「ああ、きっと初々しく繊細で、ドビュッシーの『月の光』あたりをお供に、穏やかな静けさの中でティーを嗜みながらページをめくりたくなるるような、煌めきラブストーリーなんだろうなー」などと考えていた私に見事なまでの裏切りをかましてくれたのがこちらの作品です。ニコッ
 私が望月麻衣さんを知ったのは、上にも書いた『京都寺町三条のホームズ』なのですがーー簡単なあらすじはですね、、京都の骨董品店で働く大学院生(そのお店の店長さんの息子さん)と、諸事情でそこでバイトすることとなった女子高生が、京都の街で起こる不思議な出来事とか、人々の悩みなどを解決していくお話。すごく人情味に溢れていて、恋愛もあって、目蓋も熱くなるような温かいストーリーの連続なのです。そして、漫画化・アニメ化もされた、望月麻衣さんの出世作の一つでもあります。
 望月麻衣さんは、京都を舞台とする作品や占星術をテーマに扱ったものを書くのがお好きのようでして、作風はとてもファンタジーな世界観なものもあれば、すごく現実味のあるユーモラスなお話もあったり、エブリスタ(小説投稿サイト)で鍛え上げられた、そこでのし上がってこられた強さのある実力派の作家さんなのです。

 さてさて、なぜ私は”騙された”と感じたのでしょう。。これまで読んできた望月さんの作品の作風や文体のイメージ、あとはタイトルや表紙から想像される先入観もあるとは思います。そういうのも含む、私のもつ望月さんイメージがことごとく崩れ去ったのです。ナントッ
 どうやらこの作品、望月さんがエブリスタで活動を始めるよりも以前に執筆をなされた当人の初期作に、あらためて手直しを加えられたものだそうです。なので、私の知る望月さんじゃないことに関しては、うん、確かにという感じです。
 まずタイトルの「旋律」なのですが、たぶん「戦慄」の間違いなんじゃないかな??←ちがいます 「純愛小説」を謳っているけれど、その実、びっくりするほどのドロドロ小説です笑 29歳の頃の望月さんの身に、いったい何があったのでしょう。BGMはドビュッシーの月の光? 否! バルトークのピアノ・ソナタです。落ち着きません! 読んでる間は胸がきつくしめつけられる思いでした。亜美ちゃん(ヒロインの子供)が可愛かったからなんとか読み終えられたのです。亜美ちゃんだけが私の心の支えでした。。シクシク

 まあ、多少は大袈裟に書いているけど笑 主人公とヒロインの純愛場面だってもちろんありますし。でも私はドロドロの方のお話が面白くてそっちに気を取られてしまったのでした笑 望月麻衣さんにもこういう時代があったんだなあって、嬉しい気分にもなりました。私のような、初期の望月さんを知らない望月さんファンにとっては、必読の一冊なのではないでしょうか。
 望月さんにとっても、この作品はとても思い出深いもののようでして、『満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの奇跡〜』の刊行で見事「著作50冊」の目標を達成された際に、原点であるこちらの作品を刊行しようと考えられたそうです。
 小説投稿サイトをはじめとする、現在、プロになるためまたその他の理由で創作活動に励まれている方にとっても、勇気を受け取れる作品なのではないかなと、なんとなく、私は感じました。
 今回は本の内容についてはあまり触れておりませんね。えーと、31歳の主婦と17歳の高校生の純愛ストーリーです。あとは読んでからのお楽しみです笑 ではでは⭐︎

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